社会

そもそも道徳の授業が行われていないことが問題なのか

さて、先日も道徳の教科化についての疑念を呈したところですが、本日は、もう少し違った視点から、道徳の授業の問題を論じてみたいと思います。 1.道徳の授業を行えば道徳性は向上するのか 人生経験もそれほど豊かではなく、他者との交流も不十分である私…

マルティンニーメラーの詩「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」から考える

Twitterで橋下・松井維新の会の朝鮮学校差別に関する議論をしていて、金明秀(@han_org)さんや@motagaoさんと議論になった。その中で、マイノリティへの差別の禁止の理由について少し考えを改めた部分があるので、メモとして残しておきたい。私のツイートの趣…

少年犯罪への死刑判決に寄せて

今回の死刑判決に対して、世間の人々はどのような感想を持っているのだろうか。様々な人がいると思う。まずはじめに、妻と子どもを殺された本村さんの受け止めはどうだったろうか。記事によれば、以下のようだ。 「大変満足しているが、喜びの感情は一切ない…

ハシズム分析(1)―ハシモトは現実の矛盾が生み出したモンスター

君が代起立強制条例を作った大阪の橋下府知事と大阪維新の会。彼らの意識と行動を分析しながら、その支持率の高さも含めた日本の病理を、何回かにわたって明らかにしてみたい。初回は、批判の基本的構えについて論じてみたい。以下、橋下徹の幼児的万能感に…

退路を立って政策立案せよ―生活保護給付抑制に思う

生活保護受給者が増えているので、財政負担を軽減するために、生活保護給付を抑制しようとする動きが急なようだ。以下、毎日新聞の記事を手がかりに、この問題の解決の在り方について考えてみたい。現在の政府の政策は、毎日新聞の記事のタイトルにあるよう…

国家公務員給与削減に妥協する連合系組合

国家公務員にはスト権がない。その代替措置として、人事院が置かれている。この人事院が最近、公務員の労働条件を守る方向でなく、政府の下請けのように、率先して労働条件を悪化させる勧告を行ってきた。だから人事院はほとんど代替措置にならなくなってき…

日本のリーダー像―甲斐性がないのに威張るのは得意?

さて、福島の放射能汚染で子どもと若者の命をどう守るかが緊急かつ死活的問題になっている。すでに本ブログでも子どもの年間被曝許容量の欺瞞で論じたように、文部科学省が空中放射線量のみから、放射線管理区域の4倍にも達する年間20mSvを子どもにも当ては…

事故から何を学ぶのか

といっても、原発事故ではなく、居眠り運転のクレーン車が突っ込んできて小学生6人が亡くなった事故の話。まだ、事故を起こした運転手の状況などが伝わってきていないので勘違いがあればお許し願いたい。まずはじめに、子どもを持つ親としては、突然我が子…

平川克美「非常時の思想」を読む

立教大学の平川克美氏がブログで「非常時の思想」を書いている。「米や水やガソリンの買い占め」に批判的なまなざしをもっていた私は、これを読んで頭をガツンをやられた気がした。しかし、じっくり考えるとちょっとひっかかるところもある。確かに、一般市…

いまそこにある危機

内田樹氏のTwitter@levinassienを読んでて気づいたのだが、ネットのニュースを頻繁にチェックしないと、きわめて重要なニュースを見逃してしまう。今朝午前3時台のAsahi.comには、福島原発の事故がレベル6「相当」になったという記事「福島第一原発事故、…

東日本大震災の教訓(その5) 震災からナショナリズムへ(2)

ほとんど書き終わっていたのに、操作ミスでデータが消えてショックなので、ちょっと短くなることをご了承ください。今日の話のポイントは、東京消防庁のハイパーレスキュー隊に処分をちらつかせて放水作業をさせようとした海江田万里大臣と、それに抗議して…

東日本大震災の教訓(その4) 震災からナショナリズムへ(1)

災害とナショナリズムについて論じたいのですが、やや長くなるので2日に分けて記載します。今日はその第一回目。メディアの日本賛美を手がかりに考えてみます。今回の地震に関する報道の特徴として、日本を美化するものがやけに多く感じられました。「日本…

東日本大震災の教訓(その3) ヒューマン・エラーは仕様

本シリーズの「東日本大震災(その2)」でも書きましたが、今回の福島第一原発での事故は、もちろん天災に端を発してはいますが、人災の側面が非常に強いと言えます。そのほかにも、人災と言いうる状況は枚挙にいとまがありません。たとえば、2号機で燃料…

東日本大震災の教訓(その2) 批判に耳を傾ける

本日は、批判に耳を傾けることの重要性について書いてみましょう。今回の原発事故に関する情報収集をするなかで、私と同様に、少なからぬ人が、 日本共産党の議員による国会質問に関する記事 「チリ地震が警鐘 原発冷却水確保できぬ恐れ 対策求める地元住民…

東日本大震災の教訓(その1) 人間にはムダが必要だ

まだ震災が続いていますが、今回から何回かに分けて、震災地域では無いところから見た「震災から得られる教訓」について書いていきたいと思います。今回は、「人間にはムダが必要だ」というお話。世間では、「効率性」の大合唱で、大学などでも、研究室や教…