ハシズム分析(2)―低い自己肯定感

さて、どのような世俗の人々がハシモトを生み出したのであろうか。

それは何よりもまず、自己肯定感の低い現代日本人であろう。日本の子どもたちが自己肯定感が低いというのは、従来から言われてきたことで、様々なデータでも裏付けられている。

たとえば、直近では、今日ネットで報道されていた次の記事が参考になる。

日本の高校生は自分の能力に自信が持てず、親や教員からも認められていないと感じている―。財団法人日本青少年研究所(東京)が昨年、日米中韓の高校生7233人に実施し、24日、公表した調査でこんな傾向が明らかになった。
 調査によると、
自分は価値のある人間だと思うかとの質問に「全くそうだ」と答えた生徒は、
米国57・2%
中国42・2%
韓国20・2%
に上ったのに、
日本は7・5%
日本の生徒は「まあそうだ」と合わせても36・1%にとどまった。

 「自分を優秀だと思うか」との問いに「そうではない」と回答した
日本の生徒は83・2%に達し、
米国の11・2%
中国の32・7%
と比べて大きな差が出た。
 一方、「学校には私を理解してくれる先生がいる」と考える日本の生徒は52・7%で、4カ国中最低。「親は自分をよく分かってくれる」としたのは68・0%で、韓国の66・2%に次いで低かった。

日本の高校生「自信ない」 米中韓と大きな差

ここに典型的に見られるように、日本の青少年は自己肯定感がきわめて低い。もちろん、実力以上に妙に自信にあふれているアメリカの青少年の姿も手放して評価して良いとは思わない。しかし、他方で日本の青少年を「謙虚」だなどと称賛するのは、あきらかに誤りである。

日本の青少年は、自己肯定したくないのではなくて、自己肯定したいのにできないのだ。だから、リアルな世界では小さくなっている人が、匿名の掲示板では、人が変わったように他者を罵倒して自分の優位性を確認しようとするのだ。そこでは、「攻撃することができる」と思えば、相手を選ばず片端から他者を罵倒する。対象は、弱者、有名人、権力者など何でも良い。むしろ、有名人や権威ある人や権力者を罵倒することの方が、疑似自己肯定感確認の効果は高いだろう。

いずれにしても、他人をこき下ろすことで相対的に自分の価値を上げようとする姿を見れば、謙虚などという言葉がいかに現実を捉えていないがわかるだろう。

どうやって有名人や権威のある人を罵倒するのかということついては、次回に言及することにする。

今回は、上記の記事が、自己肯定感の低さを、教師や親から認められる機会が少ないことに関連づけているということを確認しておきたい。そして、記事では指摘されていないが、そのような教師や親からの低い評価を生み出しているのは、過度に競争的な教育システムであることを指摘しておきたい。