大阪維新の会は橋下ファシスト党か?

橋下大阪府知事がまたやらかしてくれました。

橋下知事と、その人気にあやかって議員になって給料をもらいたい人たちが、とんでもない条例を議会に提出するという記事が飛び込んできた。

参考までに読売の記事を抜粋しておく。

大阪府橋下徹知事は17日、入学式や卒業式の国歌斉唱時に起立しない府立学校や公立小中学校の教員を免職する処分基準を定めた条例を9月の定例府議会に提案する考えを示した。
(中略)
 知事は報道陣に、「府教育委員会が国歌は立って歌うと決めている以上、公務員に個人の自由はない。従わない教員は大阪府にはいらない」と指摘し、「繰り返し違反すれば、免職になるというルールを作り、9月議会をめどに成立を目指したい」と述べた。
 学校での国歌斉唱では、府議会会派「大阪維新の会」が府立学校や公立小中学校の教員に起立を義務付ける条例案を19日開会の5月議会に提出する予定。
(後略)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110517-OYT1T00478.htm

それにしても、この人、どれだけ薄っぺらい人なんだろうと思う。自分の考えが絶対に正しくて、それ以外の考えは一切認めず、自分の思い通りにしようとしているだけであり、それを実行するために単純な論理で世間に訴えて大衆を味方につけて利用しているだけ。この人は、日本に隣接する半島の北側にある国のキムなんとかさんと五十歩百歩ですね。人権思想の発展段階からいえば、思想レベルが隠れキリシタンをあぶり出した江戸時代の踏み絵時代で止まってる。


この人弁護士だというのだが、そもそも基本的人権とは何かが分かっていない。基本的人権というのは、「いつでもどこでも誰にでも」認められるからこそ意味がある。たとえば戦争中だからといって不当逮捕や拷問しても良いということにはならないし、うちの会社では労働基本権を認めないよということは出来ないし、公務員だから認めないということは出来ない。それを基本的人権というのだ。そうしないと、政府や権力者が自分たちに都合の良いように、勝手気ままに人権を制限できるようになってしまうからだ。そんなことを認めてしまえば、暗黒社会に転落してしまう。社会を一気に農奴制や絶対王政の時代にまで巻き戻すことになるだろう。そうならないように、憲法を定めて、国家や自治体などの権力者が暴走できないような仕組みをつくっているのだ。

そして、今回の件で言えば、職務中であっても、教員であっても認められなければならないということになるわけだ。

一部に、公務員なのだから起立して国歌を斉唱することを拒否する権利はないというような、ほとんど何の理由にもならない理由を述べている人たちがいる。(そう思っている人は、どうしてそれが理由たりうるのか、一度冷静に考えてみた方がよい。)

このことに関して言えば、次の2点を考えることが必要だろう。

まず、公務員は全体の奉仕者である。日本国憲法第15条にも

すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

と書いてある。これは、公務員が、国家や首長などの権力者や東電など一部企業へ奉仕するのではないという意味だ。だから、職務命令として上司から出される命令には何であれ従え、というのはおかしなコトになる。なぜなら、上の命令は遡っていけば権力者に行き着くからだ。公務員は、権力者に従うのではありませんよ、というのが憲法の規定なのだ。公務員が仕事としてやるべきことをやるというのと、権力者から言われたことに従うというのは、まったく別のことであって、区別して考えなければならない。

そもそも、憲法最高法規であって、それに反するような内容の職務命令を出すこと自体が、法律違反なのだ。そんなものを認めるなら、人殺しをしてこいという職務命令も出せてしまう。基本的人権を蹂躙するような職務命令は、社会そのものの破壊行為であり、このような権利を獲得するために命を落とした無数の先人の死を台無しにするので、1人2人殺すことよりもはるかに罪が重いという評価も可能かもしれない。

さらに、公務員には憲法遵守義務がある。憲法第99条には、

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

とある。「思想・良心の自由なんて民間企業では通用しない」などという理屈が見られるが、これもおかしな理屈だ。民間企業で憲法が守られていないとすれば、それはその民間企業の方がおかしいのであって、そちらを是正するべきなのだ。おかしい方にあわせる道理はない。むしろ、公務員には憲法遵守義務があるのだから、率先して憲法が生かされるように手本となるべきである。

ここからはややブラックジョーク的になるが、橋下氏の今回の行動に賛同する人は、国民を免職すべきだと思う。よく「日本を愛してないヤツは日本から出て行け」などと暴言を吐く人がいるが、その言葉をそのままお返ししておきたい。日本国憲法第12条には、

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。

とある。つまり、国民である限り、基本的人権を守るよう不断に努力しなければならないのだ。努力を怠っているどころではなくて、それを破壊しようとするのだから、国民として不適切ということになってしまう。


それにしても、利用された庶民は、ますます自分たちの人権が守られない社会に自ら手を貸しているので哀れだ。深い思想と哲学をもった庶民へと教育していくことの重要性を痛感。