自虐史観ではなく反戦史観

メモとしてツイッターでつぶやいたことをまとめておきます。

1.
歴史認識で安倍首相と橋下市長は同じだという見方があるが微妙に違う気がする。橋下市長は「どこの国も悪いことをやったという歴史的事実を明らかにする」というナイーブな立場だが、安倍首相は「戦争は悪いものではない。むしろ良いものだ」として戦争への国民の賛意を調達しようとしていると思われ。

2.
アジアの解放のための戦争だった、特攻隊員はカッコイイ、等々。自虐史観を否定しているのではなく、戦争の悲惨さを描く反戦教育を攻撃している、と見るべきだよね。戦争を行うためには、自虐よりも反戦思想が最大の敵になるから。そして現在の教育政策の中心にあるのは、好戦的な思想を育てること。

3.
好戦的思想を育てようとしていると考えれば、なぜ靖国神社にこだわるかも分かるだろう。靖国はお国(天皇)のために死ぬことを顕彰する機関であるのだから。また安倍首相がFBで千鳥ヶ淵のことを書いても一般人には触れず、兵士のことしか書かないのもその現れととってもよいかもしれない。

本日、千鳥ヶ淵戦没者墓苑において拝礼式が行われ、硫黄島をはじめ、樺太マーシャル諸島、モンゴル、ミャンマーパラオ、東部ニューギニア、ビスマーク、ソロモン諸島マリアナ諸島旧ソ連地域から帰還した御遺骨が納められました。

先般ミャンマーへ行った際、総理としては36年振りに日本人墓地に参拝いたしました。
日本人会そしてミャンマーの皆さんによってきれいに墓地が整備されていることに感激いたしました。
その日は雨季であるにも関わらず、一日全く雨に降られず、外での行事を全うすることができました。
ふとミャンマーに眠る19万人の御英霊のお陰だと思い、胸が熱くなりました。
沢山のブーゲンビリアの中で眠る御英霊に手を合わせ、遠い異国の地で日本にいる家族の事を想いながら散った数多くの命を偲び、改めてご冥福をお祈りいたしました。
(5月25日の安倍首相のFBへの投稿)

4.
要するに、現在の日本政府は戦争したいのだ。9条は邪魔で、自衛隊ではなく国防軍にして、集団的自衛権も行使できるようにするのも、戦争したいから。そのために、教育でも、戦争を肯定する子どもを育てたいわけだ。だから、歴史的事実をゆがめて戦争を賛美する教科書を採用させようとするんだよね。

5.
自虐史観というなら、ガンジーのように戦争で闘わなかった人たちをダメな祖先だったとdisることもできる。つまり、自虐史観反戦史観とは限らない。

6.
逆に戦後の平和主義という70年の我が国の歴史を自虐しているのが現政権。だから、戦後に限れば現政権こそ自虐史観とも言えるわけで。自虐史観が好戦史観にもなりうる好例だろう。



これに関して、歴史学と政治の関係についてもメモ

1.
教科書問題で、歴史学よりも政治を上位に置く現政権は、同じく歴史学の成果を踏まえない鳩山氏に反論する足場を持てないと思うのだが。

鳩山由紀夫元首相は(…)尖閣諸島について、「中国側から見れば(日本が)盗んだと思われても仕方がない」と述べ、同諸島は「係争地である」との認識を示した。

 中国政府は、同諸島が日清戦争末期に日本に奪われたとの立場から、「日本が清国人から盗取した一切の地域を中華民国に返還する」とのカイロ宣言を領有権主張の根拠としている。鳩山氏は、「カイロ宣言の中に尖閣が入るという解釈は、中国から見れば当然成り立つ話だ」と述べ、中国政府の言い分に理解を示した。
(中略)
 菅官房長官は(…)鳩山元首相の発言について「断じて許しがたい」と批判した。
(後略)
(2013年6月26日07時14分 読売新聞)

鳩山氏は歴史学者の研究成果をきちんと踏まえるべきだし、そうだとすれば、自民党は教科書問題でも歴史学の研究成果をきちんと踏まえるべきだということ。