あいかわらず事故を過小評価したいんだね

今朝のNHKニュースでも、チェルノブイリとの違いを強調していた。記憶によれば下のような表にして違う違うと強調している。

  チェルノブイリ 福島第一
原子炉 出力上昇 停止
核反応 臨界 熱崩壊
爆発 原子炉爆発 奥屋爆発

もちろん、福島原発は「臨界」事故ではないので猛烈な放射線は出ていない。短時間の重篤な被曝は少ないだろう。現在、なんとか冷却できそうな雰囲気なので、熱崩壊−>再臨界という最悪の事態は避けられると信じたい。

でもよく考えてみよう。上記の表は確かにチェルノブイリ原発事故との違いを表してはいるが、それは「事故の違い」であって、「被害の規模の違い」ではない。視聴者が気にしているは、事故の違いではなく、被害の規模やレベルの違いである。今後も放射性物質を空気中にまき散らし、地中・海中に垂れ流し続けることになったときに、被害の規模がどうなるのかを説明すべきなのだ。



本題とは関係ないが、同じニュースで、地元で原発不要という意見が増えたことについても報道されていた。県内外に避難した住民にアンケートをとったら

原発は必要が52%、不要が47%

だったという。

原発関連の雇用が増え、国の補助金で豪華な施設をつくってきた町の話だ。原発関連の仕事で雇用されていた人のなかには、今後働く場所を確保したいという理由で賛成する人もいるだろう。また、これまで他者に対して積極的に安全だと吹聴してた人は、過去の自分を否定したくないという心理から賛成に傾くことは想像に難くない。それでも、圧倒的に賛成だった地域でこれだけ原発不要論が増えるというのは劇的な変化だろう。

地元の町会議長が登場して、「国や東京電力が安全を保証すると言ってきたのに信じられない思い」と言っていたが、国や企業の言うことを鵜呑みにして、自ら調べてみなかったり、反対派の主張を真剣に吟味してこなかったということだろう(「批判に耳を傾ける」を参照されたい)。政治的な駆け引きとして、原発に反対まではしなくても、原発懐疑の意見をちらつかせながら、安全対策の強化を促すことはできたはずだ。町民の命と暮らしを守る政治家として不明を恥じるべきなのではないだろうか。