原発の今後―愛知県と名古屋市の場合

菅総理脱原発を行う気はないらしい。一時、脱原発的な発言もあったが、原発推進派の巻き返しがあったのだろう。やはり原発利権はそれだけ強固で、民主党も直接にか、経営者団体を通して間接的にか、その利権に関与していると疑わざるを得ない。

今回の原発事故の責任は根本的には自民党にあるわけだが、今後別の地震原発事故が生じた場合、完全に民主党の責任だということになる。その覚悟があるのかと問いたいが、自民党がうまいこと責任逃れして、民主党の責任であるかのように振る舞っているのを見て、学習したのだろうか。

さて、すぐにでも止めて欲しい浜岡原発東海地震震源予想域のど真ん中に立地している。ところが、昨夜の愛知の地方ニュースでは、中部電力は福島の津波を参考にして15mの防波堤をつくると言っている。

まず、津波の「想定」を15mとしたということのようだ。しかし、内田樹氏が中央公論2011年5月号で言っている。

「そんなに大きな地震は来るはずがない」という東電側の判断(というより主観的願望)に基づいて、「想定内」と「想定外」の線引きが行われている。「想定外」のものなど自然界には存在しない。「想定外」を作り出すのは「想定する主体」、すなわち人間だけである。

「阪神・淡路大震災との違いは「人災」であること」

15mとはあくまで人間による「想定」である。東海地震で15mを超える津波がこないという保証はない。それに、東北では、万全と言われた堤防が津波でなぎ倒されているではないか。

さらに、地震当日の3月11日の夜に1号機の燃料棒が露出していたというニュースもあった。津波による電源喪失で冷却に失敗したのではなくて、地震の揺れで原発が壊れていた可能性も否定しきれないのではないか。

また同じニュースのなかでは、名古屋市議会の議員と河村市長のやりとりも放送されていた。そこでは議員が減税ではなく災害に強い自治体づくりのために税金を使うべきではないかという趣旨の質問したのに対して、河村市長が減税で商売を盛んにすることが大切だと応答していた。まったく質問の答えになっていない。「東海」地震にどう備えるかと問われているのに、「東北」大震災への経済的支援の問題にすり替えている。しかも、減税のほとんどは大企業・大金持ちに対するもので、庶民は雀の涙でしかない。むしろ国保の値上げなどによって差し引きマイナス(=損)になっている。むしろ庶民の消費は冷え込むので、市民税を一律減税しても経済が回らないのは明らかだ。他方、大企業・大金持ちが豊かになると経済が回るかというと、この間の実績をみれば分かるように、大企業や大金持ちはお金をため込むだけだ。

このほか、市長は安全な原発の在り方などに言及していたが、安全な原発などあり得ない話。

河村の主張のおかしなところは、私が指摘するより前に中2の娘が指摘したことだ。名古屋市の市長は、中学2年生以下の論理しかもちあわせていないらしい。