あなたが言いますか?

昨日の東京都知事選挙で、石原慎太郎が圧勝してテレビで

日本はこれから大変だ。我欲を抑えて、自分の生活をつましくしないと日本がもたない。日本人全体がスクラムを組みながら肩を組んでやろう

http://www.yomiuri.co.jp/election/local/2011/news1/20110410-OYT1T00567.htm

と発言したらしい。何なんだ、この既視感は。そう、小泉純一郎の「痛みに耐えて」云々と同じではないか。

その後その痛みは誰を襲ったのだったろうか。格差社会がますますひどくなり、先進国ではアメリカに次いで2番目の貧困率を誇る国になったのがこの日本ではなかっただろうか。

痛みに耐えたのは、生存権すら脅かされた多くの貧困な庶民だった。もう十分つましい生活をしてきた。

その一方で、石原慎太郎は、海外視察と称して、都民の血税で1580万円も使って、ガラパゴス諸島で高級クルーザーで遊び放題(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-06-23/15_01_2.html)。

オリンピック招致では、都の規定(24200円〜40200円)を無視して夫婦で一泊24万円のホテルに滞在したりして、随員も併せて総額1275万円の我欲にまみれた贅沢三昧。(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-16/2010031615_02_1.html)

我欲を押さえてつつましくしないといけないのは、あなた自身でしょう。


でも、こんなふうに石原の過去を批判していれば良いという呑気な話ではないだろう。覚えておかなければならないのは、小泉首相の「痛みに耐えろ」発言のあとで国民に痛みが襲ってきたということだ。

石原慎太郎が「我欲をおさえてつつましく」と発言したということは、これから庶民にいっそうの貧困を押しつけるという意思表明である。選挙でオレ様を選んだんだから、貧困になっても文句を言うな、という予防線を張っているのであり、今後予想される批判をあらかじめ封じ込めようとしているのである。


おまけの話
パチンコでの電力消費を批判したが、カジノを導入しようとしていることとの整合性がまったくない。カジノも大量の電気使うんだよ〜。



追記

石原慎太郎原発事故にひっかけて、「つつましく」と発言したのだろうが、原発を使わなくてもつつましく生活する必要はない―個人的にはエコにとってつつましい方が良いに決まっていると思っているが、電気だけに限定すれば現状維持できるという意味。
ユーストリームでの岩上安身氏による京都大学原子炉実験所の助教小出裕章氏へのインタビュー「京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く」によれば、発電能力で言えば火力・水力だけで日本で必要な電力はほぼすべてまかなえることがデータに基づいて示されている(1:01:20あたり)。「原発反対のヤツは、代替案を出せ」と騒ぐ人たちがいるが、代替案を出す必要すらないのだ。要するに、原発利権に群がる企業、政治家、官僚が既得権を守りたくて流布させている戯れ言にすぎない。