株主の自己責任・事故責任

東京電力原発事故で、アメリカで株主代表訴訟が起きるかも、って記事があった。

東京電力が昨年9月に実施した公募増資では米国の投資家も東電株を購入しており、海外発で株主代表訴訟が起きる可能性も出てきた。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110330/amr11033022470007-n1.htm

東京電力の株価が暴落して損したから賠償しろってことだよね。「おいおい、ちょっと待てよ」と言いたい。

そもそも、安全性軽視でコストを浮かして利益を上げているときには、株主への利益還元を文句も言わずに受け取っておいて、地震によって安全性軽視・コスト優先体質が裏目に出たら訴訟するだって?? 冗談じゃない。東電の安全軽視に対する報道や批判はあちこちであったにもかかわらず、リサーチ不足か目先の利益に目がくらんだかで損こいたんだからね。投資ってのは、リスクを調べてからするもんなんじゃないの? 自分たちが一番よく知ってるでしょ。自らハイリスク・ハイリターンの商品を購入しておいて、リターンは引き受けるけど、リスクは引き受けないなんてご都合主義は許されない。あなたたち新自由主義者の好きな言葉で言えば、これこそ「自己選択・自己責任」ってヤツじゃないの? 庶民は、選択の余地なく選ばせられたことに対しても、自己責任って言われるのに、、、。

僕は以前から株主主権社会の恐ろしさを指摘してきたけど、たとえばそれは、リストラすれば株価が上がるから「他人が路頭に迷ってもお構いなしにリストラを支持する」という人たちを生んでしまうというコンテキストで語ってきた。しかし、今回に関しては、株主主権が事故を招いたとさえ言えるのではないかと思っている。株主は、他のクリーン・エネルギー会社の株だって買おうと思えば買えたなかで、わざわざ安全性軽視の会社の株を選んで買って、その会社の方針を支持したんだのだから。そう言う意味では、株主には、自己責任ならぬ「事故責任だって有るんじゃないの?」と言いたくなる。

東電の安全性軽視を批判してきた、ほとんど自己責任のない市民でさえ放射能だの停電だので被害を被ってるんだ。なんで株主が救われる必要があるんだ???